2021.8.7-8.29 鮫島ゆい・天牛美矢子『ABRACADABRA』

鮫島ゆい・天牛美矢子
『ABRACADABRA』



会期:2021年8月7日(土)-8月29日(日)
時間:12:00-19:00(最終日17:00まで)
月火水 休廊
 
「アブラカダブラ」は、誰もが一度は口ずさんだことのある御呪い(おまじない)だろう。
由来としてはアラム語やヘブライ語の呪術で使用されたりと諸説あるが、依然としてこのリズミカルな言葉の語源は明確ではないらしい。されども世界一有名な呪文は、唱えることで「不思議」を説明できるお手軽な言葉で、インスタントな神秘体験を私たちにもたらしてくれるまさに魔法の言葉である。
今回の「ABRACADABRA」は鮫島ゆいと天牛美矢子による展示である。鮫島は自身で作った立体をもとに、絵を描くプロセスを経ることで無意識の領域にコンタクトしようとし、天牛は自分の理解の範疇を超えたものに対し物語を想像し、布や革を使って表現することで近付こうとする。それぞれが制作の中で、ある種の「不思議」を利用している姿勢は、神秘に触れようと呪文を唱えている様でもある。
現代では「アブラカダブラ」の魔法は白日のもとに晒され、娯楽として消費されている。しかし本来護符に書かれ、祈りや呪いを込められたこの言葉は今でも人々を惹きつけ、現実からの浮遊を誘う。彼女たちが日々制作する中で作り出されるものは、どの様な魔法を見せるのだろうか。
アブラカダブラ。
 


鮫島ゆい
 
美術家
1988年京都府生まれ
2010年京都精華大学芸術学部版画専攻卒業
 
『みえるものとみえざるものをつなぐこと』をテーマに、絵画表現を中心とした美術作品の制作、発表を行う。 古来より人びとのなかに無意識のうちに根付いている、「目にみえないもの」を信じ、五感で感じ取ろうとする精神性に関心を持ったことから、存在の概念について問うようになる。 視覚だけでは捉えきれないものを、「依り代」と称する小さな立体物を制作することで触覚を通じて把握し、そこから拡張していくイメージの断片を多角的に組み合わせて、絵画として構築。 五感によって構成される「実在」と、想像による「架空」を画面上に混在させることで、「みえるもの」と「みえないもの」をつなぎ、あるいは両者の境界を示すことを試みている。
 
主な個展に、「境界のミチカケ」(2kw gallery、滋賀、2020)「√ root」(2kw gallery、滋賀、2018)、「鮫島ゆい展 punctuation」(VOU、京都、2017)などがあり、主な受賞歴に、「NONIO ART WAVE AWARD 2021」(グランプリ、NONIO賞)などがある。
 


天牛美矢子
 
1989年 大阪生まれ
2012年 京都市立芸術大学 美術学部 工芸科染織専攻 卒業
2014年 ロンドン、Royal College of Art の Visual Communicationに 交換留学
2015年 京都市立芸術大学 大学院美術研究科 工芸専攻 染織 修了
 
私の実家は古本屋を営んでおり、昔から物語の持つ魔力に触れてきた。現代社会において忘れられがちな、本来物語を 創造する事の担ってきた原始的な力を見つめ直すこと。また、それらを人の体に密接な関わりを持つ染織素材によって、 その世界観を親密に語りかける作品を作り、体感的に作品を鑑賞してもらおうと試みている。 また、「紙の上で旅をする」をテーマに「MOTEL」という zine をチームで制作。
 
主な展覧会
グループ展「朝と夜、森にて」( 詩と構成で参加 ) ( Gallery @KCUA / 京都、2020年 )
個展「悲しき星座」( COHJU contemporary art / 京都、2019年 )
グループ展「呪と祝」天牛美矢子キュレーション( KUNSTARZT / 京都、2018年 )
など