2016.3.7−3.19■みせたいもんがあるねん展

■略 歴
この展覧会について
間 泰宏

『見せたいもんがあるねん展』の始まりについて述べると、大学時代の先輩である嶋谷浩治と
ぼく(間泰宏)の2名が呼び掛け人となってメンバーを募り、4名の参加を得て、2008年(平成20年)
10月14日から10月19日まで、横浜県民ホールギャラリー第2展示室で、
おかもとかおり(平面)、川来次郎(平面)、嶋谷浩治(平面)、つかもとゆうき(陶芸)、間泰宏(平面)、
福西数身(平面)の6名の作家によるグループ展を開催したのがその1回目だ。
この時参加を呼び掛けた作家に向けて発した文章がある。
『嶋谷浩治と間泰宏が「一緒に作品展したいねん!」と知人の関西出身の美術家に参加を呼びかけた展覧会です。
「見せたいもんがあるねん!何かを感じてくれたらいいねん!」
そのような純粋な気持ちで見る人の心に響く美術の面白さを伝えたいと思います。』
いわゆる展覧会コンセプトというよりも、一緒に展覧会をしたかった作家に、本当に呼び掛けて
いる様な言葉なのだが、当時美術を作ることや見せることに携わる理由について幾度も二人で話し
合った中で、「美術を未来に生まれてくる子供たちのために作る」という結論に至りかけたりもしたが、
その言葉は先人達の印象的な言葉をつなぎ合わせた借り物の衣装であり、何かを与えてあげよう
という感じの、不快感を伴う言葉だった。
紆余曲折を経て、常に原点へと戻ること、ぼく達を表現することへと突き動かす、根源的な衝動に真っ直ぐ
向き合うところから始めようという結論から生まれた言葉が、上に引用した呼び掛けの文章だったと記憶している。
そんな一連の話し合いから生まれた、もう一つの文章があるので引用しておきたい。

『今の時代、生活していく上で消費されていく物が増えています。すぐ捨ててしまい流れていく物たち。美術という
文化も同じと言って過言ではないでしょう。美術作品も人が必要としなければゴミになります。有名になったり、
作品が売買されたり、美術館に所蔵されれば後世に残りゴミにならないのかもしれません。でも美術の役目
とはそれだけの価値だけでしょうか。
美術の本来の姿は、人の心を震わせる仕事のひとつであると思います。「見せたいもんがあるねん」という単純だ
けど美術にとって大事な気持ちを観る人に伝えることで、僕たちの作品だけでなく、トリエンナーレも含め今の
美術を消費する美術ではなく、人の気持ちに根付く美術の心を見る人とともに育てていくことでこの応援企画を提案
したいと思います。』(嶋谷浩治筆)

 この文章は、グループ展を『横浜トリエンナーレ2008』の応援企画として、横浜市芸術振興財団に提案した際の
企画書の一部だ。引用文にもあるように、美術を消費する物ではなく、自他の心を揺り動かす、美術だけが生み出せる
経験や価値を作り育むものとして、もう一度見つめ直そうというのがぼく達の目指すところであり、この結論の核心は
『美術の本来の姿は、人の心を震わせる仕事であると思います』という一文に集約されていると思う。
そして、その後の『見せたいもんがあるねん展』はこの理念を引き継ぎながら、第2回(2010年3月)と第3回
(2011年10月)では会場を大阪に移し、おかもとかおり、つかもとゆうき、間泰宏の3名のメンバーで継続し、第4回
(2013年11月)には、つかもとゆうきの呼び掛けに答える形で、新たに平尾絵美(版画)が参加して、京都で開催され
現在に至っている。
最後に、この『見せたいもんがあるねん展』という関西弁の展覧会タイトルは、関西の現代美術の魅力を、関西弁の
ような気安さで広く伝えていきたいという願いをこめて付けたものだ。

2016年3月

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おかもとかおり/OKAMOTO Kaori
 
1971年生
1994年 京都精華大学 美術学部造形学科(洋画専攻)卒業
 
個展
2015年 「夢の跡」 space2*3 KURUM’ART contemporary(東京)
2014年 「境界線」 space2*3 KURUM’ART contemporary(東京)
2013年 「家出中」 GALLERY TRINITY(東京)
2012年 「それぞれの空」 GALLERY TRINITY(東京)
2011年 be京都4周年記念企画「おかもとかおり展 ?限りないソ・ラを?」
 
グループ展
2016年 FACE展2016 損保ジャパン日本興亜美術賞展
2014年 リキテックスアートプライズ2014
 
私は夜が昔から好きでした。
賑やかな事があった場所、かつて建物があった場所、
そんな夜の空間に惹かれて描き続けています
 

つかもとゆうき/TSUKAMOTO Yuki
 
1977年 大阪生まれ
2000年 大阪芸術大学付属大阪美術専門学校美術工芸学科陶芸専攻卒業
 
個展
2004年 Gallery H.O.T(大阪)06,09,11,
2007年 ぎゃるりー草笛(名古屋)
2010年 現代クラフトギャラリー(大阪)
2011年 GALLERY マロニエ(京都)
2013年 2kw gallery(大阪)
2014年 GALLERY はねうさぎ(京都)
 
グループ展
2008年 つるつるとつぶつぶの器(同時代ギャラリー・京都)
       見せたいもんがあるねん展(神奈川県民ホール・横浜)
2009年 安山国際アートフェアー(韓国・安山)
       ソールアートフェアー(韓国・ソウル)
       フラッグアート展 (韓国・ソウル)
2010年 見せたいもんがあるねん展1/2(Gallrey HOT)
2011年 見せたいもんがあるねん展〜扉の向こう側〜(Gallery HOT・大阪)
2013年 見せたいもんがあるねん展#4(ART GALLERYbe-kyoto・京都)
 
癒しと笑い。
つかの間の休息。
非日常の空間=笑顔に出会える場所。
 

間泰宏/HAZAMA Yasuhiro
 
夏目漱石の『草枕』に「越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い」という件があります。
 自分の為す事が、果たしてどれほど尊いかはこの際棚に上げておきますが、アートとは、それがアートとして自足することが目的ではなく、人の心を豊かにするための物・方法のひとつであり、誰もが幸福に気付くきっかけを生み出すことが、アーティストの役割であると思っています。
ともすれば、人の世はとかく不安や苦しみが目に付き、ままならぬ生き方を選ばざるを得ない場面も多いものです。だからこそ、「喜び・感謝・安らぎ・希望・愛」といった感情を喚起するような絵を描き続けたいと欲します。

 
略歴
1971年 生まれ
1995年 京都精華大学美術学部造形学科洋画専攻卒業
 
2014年 皐月展 CUBIC Gallery(大阪)
2013年 見せたいもんがあるねん展 be京都(京都)
2011年 見せたいもんがあるねん展 Gallery H.O.T(大阪)
2011年 個展 Gallery H.O.T(大阪)
2010年 個展 Gallery H.O.T(大阪)
2010年 見せたいもんがあるねん展 Gallery H.O.T(大阪)
 

平尾絵美/HIRAO Emi
 
略歴
1983年 大阪府生まれ
2005年 大阪芸術大学 美術学科卒業
 
2005年 版画フェスタ −若手作家16人の競演−  (ギャラリー風雅/大阪)
2007年 風雅2007年 版画展  (ギャラリー風雅/大阪)
2013年 見せたいもんがあるねん展  (be-kyoto/京都)
2015年 第1回 大阪芸術大学卒業 美術科教員による作品展 (大阪芸術大学スカイキャンパス/大阪)
 
『Print is essey』
 
人は さまざまな表情をし
    いろいろな動きをし
    多くの経験をし
    たくさんの感情  もつ
 
その数は無限で、どれも尊いものである
私は、その瞬間を大切にし、記憶として版に刻み残したい